オンライン学習指導の限界

新型コロナウイルスによる休校措置が取られて丸2カ月になります。

2カ月というのは夏休みと冬休みを足したのと同じくらいですね。

政治家さんたちは1日7時限までやれだの、土日も授業だの、夏休みを削れだの好き勝手なことを言っていますね。百歩譲って大人はいいですよ。でも本当に子どもがそれに耐えられると思います?

 

まぁこの国の首相が勉強をしていなかったような人なのだから、想像しろというのが難しいのかも知れませんけどね。

 

いずれにせよ、教員は在宅勤務、生徒は自宅待機の状態が(とりあえずは)今月末まで延長になっているというのが現状なわけですね。

 

私は家に居ながら、生徒諸君がどのくらい学習に取り組んでいるかをリクルート社のスタディサプリ for teachers(以下:スタサプ)で知ることが出来ます。このツールを使って生身の生徒と接しないで見ると、実に様々なことが見えてきます。

 

これはどこもかも知れませんが、生徒の生活がどんどん乱れていきます。スタサプでは誰が何時にログインをし、どの問題を解き、どの問題で間違え、どの動画を何分視聴したかが全て見えてしまいます。すると通常通りに起きて学習に取り組んでいる生徒、お昼過ぎに、そして夜になって、という風に分かれてきます。もちろん夜にログインしているからと言って昼夜逆転しているとは言えないのですが、リズムが狂い始めている可能性は否定できません。

 

それと、我々がいかに手取り足取りでの指導をしてきたかということも浮き彫りになりました。例えば、3行くらいで何らかの指示をスタサプのメッセージで送ったとします。ところが正確に返信が返ってくるのがクラスで2人程度。あとは不十分だったり、意味が分かっていなかったり。

 

私のいる学校には、各中学校からお勉強の苦手な生徒が選抜されて入ってきますから、理解力についてはまぁ仕方がないと言えば仕方がない。Google Classroomに学校の課題を入れたからと言ったって、そもそもGoogleにログインできないと(たぶん)画面の向こうで騒いでいるのだと思います。そういう意味では、「ご家庭にPCやらプリンターの環境がある」とかいう以前の問題だということです。LINEやらゲーム機としてのスマホは使っているのだけど。

 

あとは、スタサプはご存知の方はご存じでしょうが、動画を見て最後に確認テストを終えて完了、という流れですし、設定で逆順で行うことも出来ます。このウェブ上のテスト、最初は10%台しか正解していないのに、1分経たずに100%正解して「マスターした」ことになっている。これもおそらくテキトーにポチポチして終わらせている。まぁ…それだから勉強が出来ないのでしょうけど、結局今までそういう行動パターンでやってきたのだから、余程後悔するようなことでもない限り変わらないんでしょう。

 

世間では学校の形が新型コロナ終息後に変わるとも言われていますし、私もそう思います。色々なもの(行事や部活など)が削られて、よりシンプルなものに変わっていくような気がしています。

 

しかし、上記のような生徒(子ども)が技術についていけずに取り残されていくような未来も同時に見え始めています。これを避けるには年齢=修業年限の義務教育を修得に重点を置いた進級・卒業の制度に改めるような大胆なことをしないと、いい年こいて一人で何も出来ない大人を今までのようにひたすら生み出すことになりかねないのではないかと思っています。分数が出来ない大学生どころの騒ぎではなくなってしまうということです。