ある日の心のつぶやき

ある日、再任用の国語の先生が、私のクラスの生徒を呼んで話をしたい。そして同席して欲しいと言ってきた。その生徒は「書き取り」をやらず、小テストもほとんど点が取れない、とのこと。私は生徒を呼び、隣で話を聞いていた。

 

その年配の先生はおっしゃる、熱を込めて。

「とにかく書いて、写すだけ。写してくれればいいの。それに小テストも1点、2点じゃ成績があげられないの。」

生徒はふてくされている。まるで「そんなこと分かってるよ(、でもさ…)。」という顔をしている。そりゃそうだろう。

 

先生は力尽きたようで「じゃあ分かった…。」と言って職員室に戻って行った。私は先生の手前、口出しはせず、戻られてから生徒に向き合った。そして「外国語教育」の専門家として、先生がおそらく言いたかったであろうことを生徒に伝えた。

 

先生が生徒に説諭している間、私はとてもとても言いたかったことがある。それは…

 

字を写すという「視写」の作業はとても高度なことなんですよ。(言いたいこと・中略)それともあなたはアラビア文字を『書くだけだから』と言われてスラスラと書けるのですか。一体あなたは何十年『ことば』を教えているのですか。それでよくもそんな見識のないことが言えますね。恥ずかしくないんですか。」

 

先日、仮に成績が出た。生徒もきっと努力をしたのだと信じよう。